現在4歳になる娘がいます、むねさだ(@mu_ne3)です。
プログラミング教育が2020年から必修化する。
頻繁にニュースをチェックしたり、お子さんがいらっしゃる方は一度は聞いたことがあると思います。
では、実際にどういう事が行われるの?日本はもちろん世界では何が始まっているの?親として何をすべきなのか、などを聞くためイベントに参加してきましたのでご紹介したいと思います。
プログラミング教育に関する書籍の出版セミナーイベント
という事で行ってきましたのは、「プログラミング教育が変える子どもの未来 ~AIの時代を生きるために親が知っておきたい4つのこと~」の出版記念セミナーイベント。
会場は、ヤフー株式会社のセミナールーム。
定員70名のイベントでチケットは完売しているため、どんどんと人が会場に集まります。
本日は大きく分けて4部構成。
それでは、イベント開始ですっ
1:書籍「プログラミング教育が変える子どもの未来」の紹介
まず最初は、2月15日に発売された書籍「プログラミング教育が変える子どもの未来」の紹介から始まります。
著者は、松村 太郎さん、山脇 智志さん、小野 哲生さん、大森 康正さんの4名。
本日はキャスタリア株式会社代表取締役の山脇さんの紹介で進んでいきます。
このキャスタリアという会社は2006年にスマートフォンを用いたモバイルラーニングサービスの提供を目的として山脇さんや松村さんが作った会社。
「教育×ITで社会課題を解決する」をテーマに10年以上、実践してこられた方たちなんですよね。
この「プログラミング教育が変える子どもの未来」の章立てはこんな感じ。
第2章:日本のプログラミング教育導入の目的
第3章:親子で楽しむ!プログラミング
第4章:どうなる?学校のプログラミング教育
それぞれの著者が各章を担当分けして書いているそうです。
本の中では、日本だけではなく世界中のプログラミング教育についての状況なども書かれています。
例えば、韓国のプログラミング教育必修化は2018年3月から開始しているんです。
上の写真の左上にSWという文字があるように、韓国でのプログラミング教育=ソフトウェアの教育と位置づけられており、まずは中学・高校からスタートしているんです。
日本では、「プログラミング教育=プログラミング的思考」なので、同じ言葉でも目的が少し違うんです。
また、NTT西日本と一緒に「ギークラボ」構想という、「わからないことがあったときに聞きあえる場」を作っていこうという取り組みをしているんです。
こういうコミュニティが育っていくことで、プログラミング教育に関わる人を増やしていく効果があるんだそうです。
この辺りは本の中でも紹介されているので詳しく知りたい人はご覧ください。
Ozobotをすすめる理由
プログラミング教育の導入という意味で、山脇さんたちは、線の上を走る「Ozobot」というマイクロロボットの日本代理店をしているんです。
世界のプログラミング教育市場で使われているこのOzobot。
比較的リーズナブルで簡単に導入できるので、家庭でも教育現場でも導入しやすく、一人でも仲間と一緒にでも楽しみながらプログラミングと向き合うことができる製品になります。
Ozobotについてはこちらをご覧ください。
会場にも展示してあり触ってみましたが、未就学児くらいから高校生位まで、幅広く使えそうだと感じました。
こういう楽しみながら学んでいけるのはとてもいい取り組みですよね!
まとめとして、プログラミングを通して子どもたちにどういう影響があるか、という話もされていました。
勉強でいうと、「理数系科目への興味」を持たせたり、「考えて夢中になる=勉強する体験」をさせることができます。
そして学校の勉強以外にも「機械や物が動く仕組み」を理解したり、それを作るという考え方を得ることができるんです。
プログラミング=コードを書くと思っている人もいるかもしれませんが、少なくても日本のプログラミング教育は、仕組みや体験から経験していきましょう、それによってロボットやAIを使いこなせる人になろう、というものなんですよね。
2:講演「プログラミング教育が変える子どもの未来」
お次は、ITジャーナリストの松村太郎さんによる講演「シリコンバレーから見た教育の未来」。
松村さんはサンフランシスコ近くのバークレー在住のITジャーナリスト。松村さんの記事を見たことがある人も多いと思います。
そんな松村さんは、キャスタリア株式会社の取締役でもあります。
アメリカの場合は、「プログラミング教育」という言葉はなく、「コンピューターサイエンス」や「STEM教育(ステム教育)」と言われることが多いそうです。
こういう学習を始める前の幼少期、ITへの抵抗感がないタイミングでテクノロジーやサイエンスを観察できる能力を伸ばすかどうかで、その後の学習への影響が大きいそうです。
ただ、逆に「幼少期にはテクノロジーを排除して育てよう」という動きもあるそうで、特に今テクノロジーで成功したセレブな人たちにそういう考え方の人たちが多いそうです。
今まさにアメリカではこの真逆の考え方が混在しており、まだどちらが優れているのか、がわからない状況なんですって。
なるほど。一人の子の親として、どちらもわかるので悩ましい問題ですよね。
昨今のシリコンバレー
ここからはせっかくなので、松村さんから昨今のシリコンバレーについて教えてもらいました。
イノベーションは練習の賜物
イノベーションというと「天から降りてくるアイデアによって生み出される」と思っている人もいるかもしれませんが、アメリカでは「イノベーションは練習の賜物」だと言われているんです。
スタンフォード大学にて行われているDスクールにて「デザイン思考の考え方」として教えられており、アイデアの出し方も練習あるのみ。
アイデアを形にしたりイラストにしたりする練習などをして、「イノベーションを生み出すお作法」を学ぶんです。
例えば、「b8ta」という試作品的なものが表品として並べられているお店があるんです。
ここでは、カメラでユーザーの手元を撮影しており、滞留時間やどういう操作をしたか、どういう行動をしているかまでチェックしているんです。
そのため、ここの「b8ta」ストアに商品をおくだけで、マーケティングテストができるというわけ。
世界中から面白いアイデアのプロトタイプが集まって来るそうで、ソフトバンクのペッパーくんもここで試作品を置いていたことがあるそうです。
最適化って誰の為?
Uberの最適化サービス「Uber Express Pool」。
例えば、今、ここへUBERを呼ぶと10分かかるけど、自分が(大通りなどまで)2分歩けばもっと短い時間で車が来るし、その分料金を割り引きますよ。というサービスが始まっているんです。
Uberとしては効率的にお客を回せるしドライバーの負担は減る。ユーザーとしては歩かされるけど結果少し時間を短縮出来たりお金を節約できるというわけ。
最適化して便利になっているのは、ユーザーではなく会社(ドライバー)の方。これをユーザーがどう受け取るか、ですよね。
Apple待ちの現状
イノベーションと言いつつ、結局Appleが出したものがメインストリームになる、という流れがここ数年間の流れでもあるんです。
そう言う意味では、Apple待ちの現状、と言われてしまうのも無理はないですよね。
プログラミングできることは競争優位性
現在、プログラミングができる事=日本人にとっての英語ができる事、に近いと松村さんは言います。
出来る事、がもう競争優位性を持っているんですよね。
ということで今、大学で4年間プログラミングを学ぶよりも1~2年でさっさとプログラミングを学び、早く市場に出た方が良い、という状況だそうです。
そこで松村さんが立ち上げたのが「コードアカデミー高等学校」というプログラミング必修の通信制高校。
好きなことに思い切り取り組める場として設立した学校。
スマホや新しいこと、プログラミングが好きならば、それを活かしながら学んでいける(引きこもりの人でも学べる)通信制高校なんです。
もちろん、日本でも今、受験にも就職にもプログラミングができることは優位に働くんです。
Pythonを勉強してたら数学が得意になって東工大合格、という「好きなことにのめり込んでいったら大学に入れた」という卒業生も出てきました。
ただし、プログラミングはきっかけであり、手段。
プログラミングをゴールにすると不幸になる可能性が高い。と話を締められていました。
3:Yahoo!きっず/Hack Kidsの紹介
お次は、会場の提供元でもあるヤフーさんから、Yahoo!きっずの「Hack Kids」についての紹介が始まります。
説明は、Yahoo!きっずのサービスマネージャー小泉元貴さん。
「Hack Kids」とは、ヤフーの現役エンジニアやデザイナーが講師となりプログラミングの基礎を学べる体験教室のこと。
知恵袋やカーナビやショッピングの開発をしている、現役のエンジニアが教えてくれるんです。
地域による情報教育格差を無くしたい
きっかけは、プログラミング教育の学びの場、「プログラミング教育の機会格差がある」ということに気がついたこと。
プログラミングを学べる場が、首都圏に集中しているのは問題だ、もっと地方でも気軽にプログラミングを学べる場が必要だ、と立ち上げたんです。
目指すべきところとして、「日本全国の子どもたちにプログラミングの楽しさを感じてもらい、将来の選択肢を広げるためのきっかけを提供する」こと。
ちなみに、実際使っているのは、ラズベリーパイ。
こんな小さな機械でもプログラミングできるんだよ、という非日常感を感じてもらえるというのもあり選択しているそうです。
プログラミングの言語はスクラッチを利用。
家に帰ってからでも学習できるように、インターネットに繋がりさえすれば使えるスクラッチを使っているんです。
「Hack Kids」は、2日間でプログラミングの概念から基礎、実践を行っていきます。
そして、各自でアイデアを膨らましつつそれを形にして発表するまでを体験できるんです。
周りの子ども同士で教えあう、聞き合うような雰囲気を作っており、子ども同士で交流を通じて学びを深めているんです。
この「Hack Kids」の1週間後に行われているアンケートでは、「プログラミング以外の、普段の学校の学習に対する意識が変わった」という意見もあったんです。
プログラミングをする中で、「算数の大切さ」なども身を以て体験できることで、お子さんの学習意欲が高まるという効果も出てきているんですって。
継続して学べる仕組み、が今後の課題だそうですが、こういう活動は親としてとてもありがたいですよね。
4:トークセッション
4番目に行われたのは、「プログラミング教育の名の下に世界で何が起きているのか、未来は本当に見通せているのか?」というテーマのトークセッション。
登壇者はITジャーナリストの松村さんと、一般社団法人未踏の鵜飼佑さん。
鵜飼さんは、マイクロソフトのマインクラフトエデュケーション開発チームにてプログラムマネージャを務めたり、文部科学省にて小学校におけるプログラミング教育も推進している方。
そんな鵜飼さんが行っているのが、「未踏ジュニア」と呼ばれるトップ人材育成プログラム。
学校教育だと、底辺を広げる学習方法なのでトッププログラマーが育ちにくいんですよね。
なので、プログラミングが好きで得意な中学生高校生に対して、トッププログラマーや専門家による指導や開発資金の援助をしているのが「未踏ジュニア」。
トップ人材を育成しよう、というのは日本では珍しい動きですよね。
17歳以下なら応募できるそうなので、興味がある人は是非応募してみると良いと思います。
質問できる人は伸びる!
そんな話を聞きつつ、ここからが鵜飼さんと松村さんのトークセッション。
日本人は「人に聞くのに抵抗がある」人が多いんですが、質問できる環境で質問できる人は伸び率が高いんですって。
質問して共有して学習効果を高めていくのが大事。
更には、英語ができると更に伸び率が違うそうです。
ちなみに未踏ジュニアでもSlackでグループを作っていて、いつでも誰でも質問して良い環境を用意しているんですって。
また、人と何かをする、協力して作り上げる体験は大切だと鵜飼さんは言います。
マイクロソフトの入社試験でも、「一緒に働いてみたいか」「得るものがあるか」というのを面接官は見ているそうです。
もちろんプログラミングができることは大前提ですけどね。
コンピューターという授業のない日本
冒頭でも話が合ったように、世界的に見た時に「コンピュータの使い方やプログラミング自体が必修化されている国」がある一方、日本には「コンピュータ学習という教科」は無いんです。
これ、いろんな科目と融合してプログラミング的思考を学べるのはチャンスだ、と鵜飼さんは言います。
ただし、どのように教えるのが正解か、がまだわからないため、現場の先生方の負担は増えてしまいます。
この辺りは、「良い事例をどんどん共有して広めていく」しかない状況なのが課題ですが、日本の教育者のレベルは高いので実現できるのでは?と締められていました。
わんぱくブロガー的まとめ
プログラミング教育に関わる4人が登壇して行われた今回のセミナーイベント。
来場者は、プログラマー・教育関係者・出版社・子どもの親として、など様々でした。
個人的にはプログラミングは一切できませんが、今後は避けては通れませんし私たちの子どもは確実にこれに接して生活していきます。
こういう世界で、子どもを育てて行く親だからこそ「良く分からないから…」と避けて通るのではなく、子どもが自然に接して行けるように、興味を持って学べるようにしてあげるべきだな、と感じました。
どうせなら競争優位性のあるうちに、学ばせてあげたいですしね。
とりあえずは、私もこの本を購入して読んでみたいと思います。