写真を撮るのが大好きな、むねさだ(@mu_ne3)です。
このブログも開設から3年半以上。
公開している記事は、1500記事を超えました。
かなり初期の頃の記事を除くと、記事内で使われている写真のほとんどは自分で撮影した写真を使っています。
ただ、写真に写り込んでいる人とかモノの権利についてしっかりとした知識が無く、基本的には他人の顔は写り込まないようにしたりボカすなど処理をして載せるようにしてきました。
これで良いのか、もう少し気をつけるべきなのか、気にしなくても良いのか…。知らないだけに悩ましいんですよね。
そんな中、ちょうどLinkトラベラーズ主催で、写真の権利についてのセミナーが開催されたので参加して来ました。
弁護士の先生によるセミナーで、今まで不明瞭だった部分や認識できていなかった部分まで突っ込んで教えてもらえましたのでご紹介したいと思います。
Linkトラベラーズ旅ブログセミナー 第1回 旅行写真・動画と権利
という事で今回参加してきましたのは、Linkトラベラーズ旅ブログセミナーの第1回「旅行写真・動画と権利」です。
講師は、コスモポリタン法律事務所の河瀬 李(かわせ とき)弁護士。
弁護士 河瀬 季 の個人サイト
もとIT関連エンジニアで、弁護士になられてからはIT関連を専門にされている弁護士さんなんです。
弁護士をしながらライターをされている珍しい方でもます。
先に書いておくと、この写真や動画の権利と言った部分は白黒はっきりとしておらず、過去の判例などを元に判断することも多い、難しいお話です。
その話を先生から聞き、私個人が理解した内容を記載しますので、間違い等ありましたらご容赦&ご指摘頂ければ幸いです。
では、説明に入ります!
写真を撮ることは原則自由
まず、大前提として写真を撮る事自体は、原則自由なんです。誰がどこで写真を撮るのも自由。
原則ね。
じゃ、どういう場合にNGか、というと「他人の権利を侵害してしまう」場合です。
※今回は旅ブログ向けということで、あくまで自分が撮影した写真というのを前提としています
大まかに整理した図がこちらになるんですが、この図だけだとまったくよく分かりませんよね…。
ということでもう少し詳しく、「他人の権利を侵害」してしまう場合について整理して行きましょう。
肖像権とパブリシティ権
まずは人物の写っている写真について。
肖像権って、よく聞きますし一番大事な事のように思えますよね。
肖像権とパブリシティ権。これは、両方とも「人の顔についての権利」になります。
ちなみに、「肖像権」というのは法律として無いんですが、権利として存在するものなんです。
他人の顔が写った写真を無断で公開することはなぜ問題なのか?
「ん?法律に無い権利を守る必要があるの!?」と思われる方も多いと思いますが、肖像権とパブリシティ権を別の分かり易い言葉で例えてみましょう。
それが、
肖像権 ≒ プライバシー権
パブリシティ権 ≒ 財産権
です。
肖像権
例えば、怪しい繁華街でお店に入ろうとしている写真、ホテル街をウロウロしている写真をネットに勝手に公開されたら…。
これは困りますよね。
写真を公開することで、いつどこで何をしていた、という他人のプライバシーを公開してしまうことが問題なんです。
「それを公開されることで恥ずかしい、嫌だ」と思われることが肖像権を侵害しているということになります。
ただ、実際は「故意に明らかに恥ずかしく好ましくない状態や、顔のドアップを公開しちゃう」とかでなければ、訴えられたり、訴えられても損害賠償にまでつながるケースはほぼ無いようです。
パブリシティ権
パブリシティ権とは、芸能人など有名な人の顔を勝手に使って何かの価値を高めることです。
なので、旅先で「芸能人を偶然見つけちゃいました」とブログに載せてもほぼ問題が無いんですが、「〜〜さんが絶賛オススメする宿!」という書き方をするとパブリシティ権の侵害に当たるわけです。
ただ、人のパブリシティ権は非常に弱いものらしく、明らかにその人の写真を使って宣伝したり利益を得ない場合は裁判になっても負けることは無いそうです。
また、モノのパブリシティ権は存在するかも怪しい権利なんだとか。
なので、街中で超レアなスポーツカーや、痛車を見つけて写真を撮って「こんなの見つけた!」と公開しても、車の持ち主から訴えられることは無いんです。
(訴えられたとしても負け無い)
ただし、痛車は痛車で、描かれているキャラの著作権侵害をしている可能性もあるので、その辺りは注意が必要です。
著作権とは?
次に物についての権利、「著作権」について。
著作権は、いろいろな権利を集めたものが著作権なんです。
著作権がありそうな物に関しては、原則「公開」してはダメ。
ただし例外として、以下の3つが挙げられます。
・実用品や大量生産品はOK
・屋外の美術品もOK
・著作権は死後50年で無効
著作権と所有権は全くの別物
ちなみに、著作権と所有権というのは全く別の概念で、「所有権は、ものを他人に持って行かれない権利」。
美術品を購入したとしたら、著作権を持っているわけじゃなく、所有権を持っていることになります。
つまり、単純にそのものを写真に撮られる分には、持って行かれるわけではないので所有権侵害にはなりません。
著作権の限界?
ただ、上記3つの例外以外に、著作権的に判断が難しいものがいくつかあります。
手作りの民芸品などは、大量生産とは言えず、そうなると著作権が発生する場合があるわけです。
また、料理は日本では著作権が無いそうですが、国によっては著作権を与えられているところもあるそうです。
独創的な料理を有名シェフが作った場合、などですね。
建築は、純正美術と同じクオリティならば著作権が発生するんだそうです。
まぁ、少なくても古い建物は建築家が死後50年経っているので大丈夫。現代建築のスゴイのがそれにあたるんでしょうが、日本ではこれにあたる建築は無いんじゃないでしょうかね。
人が住んでいる時点で、純正美術品として判断しづらいみたいですし。
商標権
あと、よく聞く権利として「商標権」ってありますよね。
ただ、今回のこの図の中では商標権はとても小さく表示されています。
というのが、商標権はその「商標」を「商標」として使うのが問題なんです。
商標を、ブログで紹介すること自体は商標権の侵害にはあたらないのです。
例えば、「商標」をブログのヘッダーに使ったり、明らかにその商標を自分の商標として利用してしまうとNGになります。
住居権
で、実は今回のこの図でかなり大きな割合を占めている権利があります。それが、「居住権」です。
「ん?聞いたことはあるけどそれが写真と関係あるの?」と思った方も多いと思います。
「撮影禁止」箇所で撮影すると「住居侵入罪」
例えば、よく神社や海外の教会などで見かける「撮影禁止」の看板。
こういう「撮影禁止」だと分かっていながらその場所で撮影してしまうと「住居侵入罪」になってしまいます。
これ、刑法130条に書かれているれっきとした犯罪です。
撮影する気がなくその場所に入り、あまりに風景が美しいので撮影したくなってカメラを出して撮影して、「ちょっと!ここ撮影禁止だから出て行きなさい!」と言われても撮影を続けた場合は、「不退去罪」になるそうです。
例えば、ラゾーナ川崎でアイドルがライブを行う。
その時に写真はNGなことが多いです。
それなのに、カメラを持って会場に行き写真を撮ったとしたら…。
この時の犯罪名としては、「住居侵入罪」になります。
つまり、写真を撮ったり公開している際、一番気をつけるべきは「住居権」なんです。
ちなみにこれらの権利を侵害したとしたら、あり得る問題として「損害賠償」と「写真の掲載停止」が発生します。
明らかに故意で悪質なモノに関しては損害賠償もあり得るので、皆さん気を付けましょう。
あ、ただこの撮影禁止の看板については「住居侵入罪」という名前からも想像できる通り、その土地に入って撮影することがNGとなります。
つまり、公道から撮影する分には法律上の効力は無いので、例えば「イルミネーションが綺麗な個人宅で撮影お断りの看板があったとしても、公道から撮る分には問題が無い」んだそうです。
ただ、そこに誹謗中傷を併記してブログで紹介してしまうと、今度は「名誉棄損」や「侮辱罪」といった別の権利を侵害する可能性が高くなるので控えましょう。
わんぱくブロガー的まとめ
ということで、時間にして30分チョイ、質疑応答が30分以上行われた今回の写真・動画の権利セミナー。
あ、ちなみに動画も基本的には写真と同様で、「動画の方がよりプライバシーを侵害しやすい」ので、肖像権に気を付けましょう。という感じでした。
個人的には、「撮影禁止の札が書かれていても公道から撮影する分には法律上問題が無い」というのには驚きました。
まぁただ、「撮影をやめて欲しい」と言われているのに「法律は問題が無い!」と撮影することは「マナー」として問題があるので、控えた方が良いでしょうね。
いくら良い写真でも、人に恨まれたりしながら掲載するのも何か間違ってますもんね。
まとめとして言えることは「これはやってOK」というよりは、「NGな事例を知っておく」と共に、後はマナーと思いやりを持って撮影やブログへの掲載をする。というのが良いでしょう。
基本は今までと同じように、こうやって人が写ら無いように写真を撮るのが良いんでしょうね。
門前仲町の肉の旨い店。また来ちゃいましたっ! pic.twitter.com/y1qPDl3e7N
— むねさだ よしろう@わんぱくブロガー (@mu_ne3) November 19, 2015