サラリーマンのみなさん。
自分らしく働けていますか?
そもそも、自分らしく働くってどういうこと?
今の職場は自分らしさなんて出せないし…。
そんな風に思っている人に、ぜひ読んでほしい、2つの書籍の出版記念イベントに参加してきましたのでご紹介したいと思います。
アートとサッカーから学ぶ、自分らしい働き方
という事で参加してきましたのは、「アートとサッカーから学ぶ、自分らしい働き方」仲山進也×若宮和男トークイベント。
イベントの説明にはこのように書かれていました。
新しい時代の働き方のヒントが、アートとサッカーにある!?
自分起点の「ちがい」を活かすアート・シンキング×型にはめず才能を伸ばし自走する個とチームをつくるサッカーのコーチングアートとサッカーという異ジャンルに学び、仕事やビジネスで成果を生むコツを解説した2冊の本の著者が、お互いの本に対しての質問をぶつけ掘り下げ合うクロストーク
「自分らしさ」「夢中」「遊び」など共通するキーワードについて、また個人ワークのアートとチームワークのサッカーでちがいはあるのか、トークを聞くことで本への理解が一層深まり、思いもよらない自分らしい「働き方」のヒントが得られるかもしれません。
<こんな人に最適です>
人生にモヤモヤしている人
仕事に悩みを抱えている人
働き方に悩んでいる人
アートもサッカーも、一見すると仕事やビジネスとは結び付かなさそうな感じがするのですが、この2つを軸にした話が聞けるのは面白そう!と思い参加してみました。
ということでメインの登壇者はこちらのお二人。
楽天大学の学長(がくちょ):仲山進也さん
楽天大学の学長である、「がくちょ」こと仲山進也さん。
楽天の社員を20年しつつ、個人事業主としてマリノスと契約したりもしている不思議な方。
この経歴を見ても意味がわからないですよね…(笑)
とにかく、楽天創業時から居て、自由に働きつつ、社外でも色々な会社で複業したり個人として活躍してきた方。
チームビルディング系のワークショップも多く手掛けており、マーケティング・ビジネス・チームづくりに関する書籍も出版されています。
建築からアートを学び起業家に:若宮和男さん
若宮和男さんは、もともと建築家をされていて、その後東京大学にてアートの勉強をし、現在は全員複業社員で構成されているスタートアップ企業「株式会社uni’que(ユニック)」の代表をしています。
若宮さんも、この経歴だけ聞いてもどういうことをしているのかわかりづらいんですが、起業家であり、起業家をサポートする事業などをしている人、という感じでしょうか。
若宮さんは、先月「ハウ・トゥ アート・シンキング 閉塞感を打ち破る自分起点の思考法」という本を出版されたばかりです。
今回は、この2冊の書籍を出版されたお二人のトークセッション。
モデレータは濱田織人さん
そんなお二人の話をまとめるモデレーターは、ミュージシャン(ベーシスト)であり、クリエーティブディレクターの濱田織人さん。
もともとお二人の書籍を読み、そのどちらの内容も刺さって、SNSで友人たちにオススメしていた縁もあり、今回モデレーターに。
アートとサッカーとバンド。
この3つの切り口で、「新しい働き方」についてトークが始まります!
お互いがお互いの本に質問
ちなみに、今回のイベントはシナリオ無し。仲山がくちょと、若宮さんがそれぞれお互いの本を読んで、疑問に感じたことなどを質問し合うスタイルで進みます。
まずは、若宮さんから仲山がくちょへ質問。
天才は育てることができるのか?
1章目は「天才の育ち方」(育て方ではなく育ち方)というタイトルで、「天才は努力の天才だ」という話が出てくるんですが、その努力の天才は育てることができるのか、という質問。
それに対して、仲山がくちょは「天才は育てられない」と思っている、と回答。
そもそも育てるというのはおこがましい、と思っていて。育つのをお手伝い(伴走)するイメージなんだそうです。
やりすぎた人が天才
更に話は、がくちょの書籍「サッカーとビジネスのプロが明かす育成の本質」の内容に触れていきます。
この本の共著者である菊原志郎さんは、ベルディの前身の読売時代にラモスやカズなどと一緒にプレイしていた、天才ドリブラーとか天才MFと呼ばれていたサッカー選手。
この志郎さんの育ち方を聞いていると、お父さんがハンパなくすごい方らしく。
小学校時代に自宅前の100段くらいある階段の場所で、「志郎!ここでドリブル20往復してから学校に行け!」と言い、志郎さんは実際にそれをやっていたそうです。
当時はやらされ感満載でしたが、試行錯誤しながらやるうちに、ドリブルが上手になり、更には楽しくなっていったそうです。
しかも、サッカーだけでなく空手、スキー、卓球、歌など含めて色々と父親からやらされていたそう。
お父さんは、「とにかくいろいろなことができるようになることで、自分の得意分野を見極める」という教育方法。
現に、菊原志郎さんは、「この階段ドリブルが天才ドリブラーと呼ばれた自分の基礎だ」、と言われているそうです。
そういう意味では、天才は「やり過ぎた人が天才」になるんじゃないかな、と言われていて、周りの人も納得されていました。
並の人は、少し上手くなったところで「うん、上手くなった」とやめてしまうんですが、そこを楽しくなってもっともっと!とやり込める人が伸びる人であり、天才だということなんですよね。
この辺りで、仲山がくちょの書籍の中に出てくる「加減乗除」という働き方のステージの話が出たり。
この辺ももっと詳しく知りたい!という人はぜひ、仲山さんの本を読んでみましょう。
夢中になれる人が伸びる人
また、夢中体質、伸びる人というのはこういう人。という図も紹介。
縦軸が挑戦。横軸が能力。右に行くほど能力が高く、上に行くほどチャレンジングな内容。
これ、仕事でもサッカーでも同じなのですが、伸びる人は、退屈ゾーンに入らないように、常に自分でハードルを少しだけ上げて伸び続けるんですって。
そういう意味で、指導者は「夢中体質にしてあげられるかどうか」が大事。
あぁ、ここはすごく納得!
会社で言うとマネージャーは、部下に対して最初は「能力よりも少し難しい仕事」を与えつつ、最終的には部下が自分で考えて楽しみながら挑戦したり向き合えるサポートをすべきなんでしょうね。
ただまぁ、大企業でよくある、全く関係のない職種にジョブローテさせられると、これがブツブツと切れてしまうので、この能力と挑戦のバランスが崩れてしまう危険性はあるんでしょうね。
退屈をさせないコーチング
仲山がくちょは、サッカーコーチに対してコーチングすることがあるんですが、そのコーチからこんなことを言われたそうです。
指示通りできるからOKではなく、夢中になっているかが大事。
これは、サッカーに限らず、仕事を楽しめていない人は、退屈ゾーンに入っても焦らず、サボるだけになっちゃうんです。
プレッシャーがあることで、それを乗り越えて楽しくなるし夢中になれるんですよね。
普段の仕事がつまらないと感じている人はこの辺りを意識して、チャレンジしてみたり、自分のスキルを上げてみたり。このバランスを考えてみると良いと思います。
アートに正解はない
ここからは、がくちょから若宮さんに質問。
いや、質問というか、まず読んだ感想として、「アートの見方ってこれで良いんだ!?」って思った、「早く言ってよ!」と。
今までアート=難しいものという意識でいたがくちょ。
これに対して若宮さんは、「日本人に特に多いのですがアートって、一般教養として解らないといけないという不安を持っている人が多いんですが、本来は100人がいれば100通りの感想があって良いものなんです。」と。
なので、よく「僕はアートがわからないんですよ」という人がいるけれど、わからなくても良いんです。
理解できないものが生まれても、それはそれで良いわけで、「こうでなければいけない」というのはないんです。
例えば、美術史的にはその解釈は間違いかもしれないけれど、本人がそう感じたならばそれで良いわけです。
ロジカルシンキング、デザインシンキングは、みんなで同じ方向に向かうのが正解なんですが、アートシンキングは、同じ方向に向かう必要はないんです。
その作品を見たことで「見た人が色々な解釈をし、それぞれが触発される」のが良いアートだと。
見方も、印象も自由。
会場の来場者の人たちもここで「アートってもっと気楽に見て良いんだ」というポジティブな反応でしたね。
本の章立てがバラバラ!?
がくちょはこのハウ・トゥ・アート・シンキングは「おわりに」と「あとがき」が最高なので、これは是非読んでほしい!と。
詳しくはネタバレになるので伏せつつも、どうやらこの本。章立てが1〜順番じゃないんですよ。
順番がグチャグチャなんですが、この本はこのまま順番バラバラで掲載されているんです。
けど、読んでいて違和感がないしこの章立てだから面白いんだとか。
スターウォーズが4から6まで公開された後1〜3が公開されたような感じ。という例えをされていましたが、これは読んでみたくなりますね…!
アート出身者はアート思考でビジネスができるのか!?
お次は、アートをやってきた人は、アート志向のままビジネスをできるのか?という質問。
それに対して若宮さんは、「アート出身の人たちは逆にビジネスシンキングが足りてない」と。
日本の美大の教育は作ることに重きを置いていて、その後のどう伝えるか、どうビジネスにつなげるかまでしっかりと教わらない所が多いそうです。
良いものも、必要な人に届けてこそ価値が出るわけで。
その良さを認識して評価して、どのように伝えて価値に変えるかがビジネスにつながる部分。
売れるものに合わせにいくのも違うけれど、社会に全くニーズがないものを作るのもビジネスとして成り立たないわけで。
そこのバランスを取れる人がまだ少ないんじゃないかな、と。
そう言う意味で、サッカーも自分のことしか考えられないプレイヤーは日本代表になれないんです。
チームメイトにありがとう、と言える関係性が作れて、そのチームプレイが楽しいと思えるようになると、チームとして回るようになるそうです。
これは、がくちょの言う「自己中心的利他」の考え方。
人に喜んでもらう、というのもモチベーションを長く保つための要素なんですね。納得!
ロジカル・デザイン・アートシンキングのわかりやすい例え
ここで、若宮さんがロジカルシンキング・デザインシンキング・アートシンキングに対して、とてもわかりやすい例えをしてくれました。
例えば友人なり恋人に対して、プレゼントをするとします。
その際、
ロジカルシンキングは、リサーチして、一般的にその年齢の人が喜んでもらえるものをプレゼントする。
大きく失敗は無いが、よくあるものだったり、すでに持っている可能性は出てきます。
デザインシンキングは、その相手を観察して、その人の持っているものや普段の言動や行動から、喜んでくれそうなものを予想してプレゼントする。
その人が求めているものを考えて渡すので、喜んでもらえる率は上がりますが、外れると「理解してくれていない!!」となってしまいます。
それに対して、
アートシンキングは、相手に合わせるのではなく、自分があげたいもの、大好きなものをプレゼントする。
なので、アートシンキングに正解はないんですよ。
自分の中の熱量で押し込む感じ。「これ絶対良いから是非使ってみなよ!」と。
喜んでもらえる率は下がるかもしれないが、これがズバッと刺さると、他の人がしていないステキなものをプレゼントできる可能性があるんですよね。
新規事業やイノベーションにこそ「アートシンキング」
これ、新規事業やイノベーション担当者にも当てはまるわけで。
既存の価値観ややり方では見つからないものを見つけるならば、統計とかニーズではなく、誰かの好き、を提案してみる。
ロジカルに考えたら「これはないかも…」となることも、アートシンキングならば「よしこれだ!」というアイデアが生まれてくる可能性があるわけです。
ん?それって逆張り?と思うかもしれませんが逆張りではなく、むしろ好きなことをしがらみなく突き進めたらこうなった、というまっすぐな順張りなんですよ。
来場者からの質疑応答
最後に、少しだけ来場者からゲストのお二人に対して質問タイム。
今の学校教育を変えるには!?
「今の学校教育の型にはめる、正解を求める教育はどうなったら変わると思いますか?」という質問。
これに対して「通知表というのがよくないんじゃないか?」と、がくちょ。
若宮さんも、「今の教育には極めて危機感を持っている。それは、受験というシステムがあるから」、と。
今、ティーチャーよりもファシリテーターが必要だと言われているそうで。
教えるよりも、良いところを伸ばす人が、求められているんです。
「面白がり力」が大事
お次は、「バカと思われたくないという恐れがあるんじゃないか?」これがなくならないとアートシンキングはうまく行かないんじゃないか?と。いう質問。
これに対して、確かにそれはありつつも、「あぁ、この人好きだな」という人は見たことないものに出会った時に「面白い」と素直に言える人。
バカじゃない?と思われても、「だって面白いじゃんこれ!」と面白がれる、「面白がり力」がある人が今後求められる人なんじゃないか、という話で締められていました。
わんぱくブロガー的まとめ
アート、サッカー、音楽。
3つの切り口で、一見全く別物なんですが、人に伝える・新しいことを考える・楽しさを見つけてやり抜くことで突き抜ける、という話が共通していてとても共感するとともに、参考になりました。
退屈と感じる時点で成長できておらず、ほどよい緊張や、不安を感じつつチャレンジすることこそが、自分を伸ばせるし夢中になり、楽しめるわけです。
この辺りは普段の仕事に取り入れられそうですね!
新規ビジネスを考える仕事の人、なんだか仕事をしていて成長を感じられなくてモヤモヤしている人にこそ、この2つの書籍がしっくりくるのではないかと思います!
私も早速2冊とも注文しました!